第4回RIZAP鼎談 ゲスト:斯波正樹選手(RIZAP所属スノーボードパラレル大回転) 4年後は脂がのった“良い時期”になる

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ダイエットの先にある「健康」へのコミット--。次のステージを目指す RIZAPのスペシャルトーク企画。第4回はスノーボードパラレル大回転の斯波正樹選手をゲストに迎えた。トレーニング、栄養、休養についてRIZAPトレーナー・新井純輝と語った。司会はスポーツジャーナリストの二宮清純さん。

<カギは上半身と下半身のバランス>

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二宮清純:  斯波選手、今シーズンを振り返っていかがでした?

斯波正樹:  今シーズンはかなり飛躍したシーズンでした。五輪に出場したり、1月5日のワールドカップオーストリア・ラッケンホフ大会で6位に入れたことも大きな出来事でした。ワールドカップは年間10戦ほどあるのですが、五輪選考期間に1回でも8位以内に入れば出場権を得られるんです。

二宮:  過去、ワールドカップで入賞の経験は?

斯波:  今まで入賞経験はありませんでした。8位以内に入ったことで自分の中の壁を1つ超えられた気がしました。本当にいい経験ができたシーズンでした。

二宮:  今シーズンは100点満点だと?

斯波:  はい。自分を褒めてあげてもいいのかな、と思います。

二宮:  さて、今回は斯波選手が取り組んでいるトレーニングのことなど、いろいろお伺いしたいです。さっそくですが、太ももとふくらはぎが驚くほど太いですね!

斯波:  そうなんです(笑)。太もも、ふくらはぎは結構太いですね。何センチだったかは忘れてしまいましたが……。

二宮:  脚の筋肉が“エンジン”である競輪選手より太い気がします。他の競技でもここまで太ももとふくらはぎがしっかりしている選手はなかなかいないんじゃないですか? RIZAPトレーナーの新井純輝さん、いかがでしょう。

新井純輝:  競技特性もあると思いますが、ここまで太いスポーツ選手はなかなかいらっしゃらないです。

二宮:  スノーボードの選手の中ではどうなのでしょう?

斯波:  国内、海外を含めてもここまで太い選手はいないです。海外の選手は背が高いので同じ筋肉量だとしても細く見えるということもありますが。

二宮:  パラレル大回転という競技では、体のどこの部位の筋肉を鍛えることが重要ですか?

斯波:  下半身だけトレーニングしてもうまく力が発揮できないし、上半身だけ筋肉をつけてもダメなんです。下半身と上半身の両方ががっちりしていないとやはり世界レベルでは戦えません。

二宮:  バランスが大事だ、と。新井さんがご覧になって斯波選手の体型は?

新井:  理想的だと思います。スノーボードは体のバランスが重要だと認識しています。下半身と上半身の連動性がカギを握るスポーツですからね。

二宮:  ハイスピードで不安定な雪面を滑るわけですから、いろいろな筋肉が連動しないとパフォーマンスが低下してしまう。

斯波:  しかも足元はボードで固定されています。雪面を滑っていると振動が体に伝わってくる。不安定なコースでも、ボード上での体勢、腰の位置、上半身の位置、全てが良いポジションに収まると気持ちの良いターンができるんです。

二宮:  重心を安定させるためにも、バランスの良い体づくりが不可欠ということですね。

斯波:  そうなんです。だから反応のスピードを高めたり、筋力の質量を高めないといけないんです。

新井:  オフシーズンは体づくりのためにどんなトレーニングを行っているのでしょうか。

斯波:  1週間に10時間の有酸素運動を行います。夏場はロードバイクに乗ったりもします。それに週に3日間、ウェイトトレーニングの日を設けています。だいたい、月曜日、水曜日、金曜日はウェイトトレーニングを行うので、1週間が終わる頃にはもうへとへとです(笑)。

新井:  いやァ、オフシーズンにしては運動量が多い方なのでは、と思いました。

二宮:  週3日のウェイトトレーニングは同じメニューですか?

斯波:  3日間ともプログラムは異なります。例えば月曜日が下半身中心、水曜日が上半身中心、金曜日が全身バランス良くといったメニュー構成です。下半身中心の日も少しは上半身強化のメニューをこなします。その日のプログラムの中で下半身に重点を置くか、上半身に重点を置くのかが違います。

新井:  一応、「今日はこれくらい」と基準を決めておいて、あとは体の調子を見ながら上半身と下半身のトレーニングをする割合を決めているのでしょうね。

<“追い込む”と“追い込まれる”の違い>

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二宮:  トレーニングも大事ですが、それと同じくらい休養も大事だと言われます。

斯波:  私は今年で32歳になりました。年齢を重ねると、休養の取り方も変わってくると思うんです。「若い選手に負けるもんか」と気張るのはいいのですが、きちんと自分の体と向き合って適度に休養も取っています。

二宮:  休む勇気は大事です。休むことが怖くてオーバーワークになるとケガの原因になってしまうことがあると聞きます。

新井:  まさにおっしゃる通りです。頑張りたいという気持ちは大事ですが、休むことも大事。シーズンのどこにピークをもっていくかなど、年間計画をしっかり立てる。そうすると休むべき時期もわかってくるんです。

斯波:  そうなんです。最近は“あ、今このタイミングなら休んでも大丈夫”とだんだんわかってきました。以前までは“トレーニングをやらなきゃ、やらなきゃ”と必死過ぎていた。頭で考えるよりも“体の声”を聞いて直感的に判断することも大切だと最近気がつきました。新たな発見がたくさんあって、面白いですよ。

二宮:  今、おっしゃった“やらなきゃいけない”というのは、“追い込む”のではなくて“追い込まれている”ということですよね。

斯波、新井: ああっ、なるほど!

二宮:  私は長い間、アスリートを見てきました。アスリートには2通りあるんです。自分を“追い込む”ことがうまいタイプと、強迫観念で自分が“追い込まれてしまう”タイプ。

新井:  追い込まれて冷静さを失った状態でトレーニングをしてもケガにつながってしまいます。

二宮:  お話を伺っていて、斯波選手はかなり客観的にご自身のことを把握している印象があります。体脂肪率はどのくらいがベストですか。

斯波:  だいたい、10%から11%がベストです。

新井:  種目によってベストな体脂肪率は異なりますが、スノーボードにはすごく良い数値だと思いますよ。

二宮:  体脂肪の多い、少ないでパフォーマンスへの影響を実感されたことは?

斯波:  気温が低い環境で行うウインタースポーツの場合、ある程度体脂肪がないと風邪をひきやすくなってしまうんです。ただし11%を超えると今度は体の切れがなくなってくる。体重が80キロくらいで体脂肪率が10%から11%が僕にとってはベストな体型です。

二宮:  この先、世界で戦い、結果を残すためにトレーニングメニューの改良は考えているのでしょうか。

斯波:  今回、平昌五輪に出場して次の北京五輪を本気で目指そうと改めて思いました。年齢のことは周囲の人にいろいろと言われたり、気にかけられます(笑)。ですが、僕は北京五輪までの4年間は若い頃より心身ともにアスリートとして脂がのる“良い時期”だと思うんです。体力はもっと向上するでしょう。ただし、その一方で、瞬発的な動きは若い時より苦手になってきた気がします。そこはトレーナーと相談して「来年からはこうしていこう」と話し合っている最中です。

二宮:  加齢とともに気になるのは?

斯波:  高くジャンプする能力はさほど変わっていません。ですが、ジャンプを短い間隔で何度も繰り返すことが少し苦手になってきたなぁ、と思います。若い頃より小回りのターンも難しくなってきた。その点に関しては今、トレーナーに最優先事項として改善策をリクエストしています。

新井:  加齢に伴って瞬発力が落ちることはあり得ます。すごいと思うのは、斯波選手はそこにも逃げずに克服するチャレンジをしていることです。「絶対に諦めない、今でもイケる!」というメンタルが素晴らしい。率直に心が強い方だなと思います。トレーナーとしても、一人の人間としても斯波選手を応援したくなります。

<魔物の正体とは!?>

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二宮:  自分の弱点を理解しているのは、ある意味アスリートとして最大の強みですよね。自分の体の変化を把握してアジャストしようとする点が素晴らしい。斯波選手は向上心が強いですね。

斯波:  はい。平昌五輪でもメダルを目指していたのですが、今はより強く「次こそメダルを獲りたい」と思っています。

二宮:  意欲がより高まったわけですね。

斯波:  今シーズンはかなり調子が良かったし、平昌五輪の本番前日も絶好調でした。“日本を湧かせられるような結果が出せるんじゃないか”と思っていたくらいなんですけどねぇ……。

二宮:  自分でもわくわくしたと。

斯波:  えぇ。ただワールドカップツアーと違い、家族、親戚、そしてRIZAPの仲間が大勢、現地に応援に来てくれた。それがとても嬉しくて、“皆の前で良いところを見せたい”と思ってしまった。平昌に行く前は“五輪は普通の大会と同じ、ただの1つの大会に過ぎない”と思っていたのに……。周囲からはよく「五輪には魔物がいる」と聞いていました。でも僕は「そんなわけはない」と強気で臨んだ。予選1本目のスタート前。いつもは何もせずに静かにスタートを待つんです。でも、この時ばかりは他の選手の滑りを見たり、いつもやらないことをやっていたんです。

新井:  ご自身のルーティンを崩してしまったんですね。

斯波:  はい。案の定、1本目のタイムは悪くて、これではまずいと2本目の前は静かにしていました。2本目のタイムは良かったんですが、1本目とのタイム差が響き、予選敗退でした。部屋に戻って3、4時間くらい経って気がついたんです。“あぁ、みんなに良いところを見せたいと思って、いつもやらないことをやってしまった”と。自分にとっての五輪の魔物はこれだったのか!と(笑)。

二宮:  魔物なんていない、普通の大会の1つだと意識すること自体が自分をがんじがらめにしてしまっていたんでしょうね。

斯波:  そういえば今回、同じ種目で金メダルを獲ったネビン・ガルマリーニ(スイス)は3度目の五輪だった。彼に「最初の五輪はどうだった?」と聞いたんです。すると「緊張して、何がなんだかわからなかった」と。その選手は2度目の出場となったソチ大会で銀メダル。そして今回が金メダル。少しですが、救われた気がしたんです。逆に自信が持てたというか。

新井:  今回の反省を糧に、されに成長ができそうですね。

斯波:  肉体的にも、メンタル的にも4年後の方が充実した状態で迎えられる気がするんです。今回、経験したことはとても大きいと思います。

二宮:  斯波選手は自分の体や疲労具合をしっかり把握されている。今後の活躍も期待できる選手だなと感じます。斯波選手は2015年9月からRIZAPと契約しました。それから何か変わりましたか?

斯波:  栄養に対する意識はガラリと変わりました。たんぱく質を取ることの重要性を痛感しています。元々筋肉は付きやすい体質だったのでそれまであまり摂取していなかったのですが、言われた量を摂取すると体の回復が驚くほど早いんです。

新井:  RIZAPは一般のお客様にもしっかりと栄養面のサポートもしています。斯波選手も食事の取り方が変わったんじゃないですか?

斯波:  例えばですが、ラーメンでもうどんでも以前は2玉食べていた。今はそれを1玉にして、その分、肉を食べるようになりました。僕の場合、1日にたんぱく質を 160グラム摂取しないといけないんです。

二宮:  そうした数値はどうやって計算するのでしょうか。

新井:  体重のキロを除いた数字に2をかけたグラム数です(体重<キロ>×2=たんぱく質摂取量<グラム>)。斯波選手の場合ですと、80(キロ)×2=160(グラム)となります。この数値は最低限摂取して欲しい量です。せっかくつけた筋肉が落ちてしまうのはもったいないですから。

二宮:  食事だけでたんぱく質を160グラムも取るのは難しそうです。足りない分はプロテインなどで補うのですか?

斯波:  食事だけで160グラムを摂取しようとすると、かなりの食事量になってしまいます。食べ過ぎも体に良くないので、プロテインのシェイクも活用しています。1日に3食をきちんと取りますが、食間にプロテインシェイクを飲みます。RIZAPに所属するようになり、栄養面はかなり意識するようになりました。

RIZAPと目指す世界一>

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二宮:  現在、RIZAPがサポートしているアスリートは斯波選手をはじめ、プロゴルファーの森田遥選手、プロボクサーの藤本京太郎選手、トライアスロン・チームケンズの佐藤優香選手がいます。RIZAPに対してのリクエストはありますか?

斯波:  夏場のトレーニングの60%近くはRIZAPの店舗で行っています。五輪にも出場できるレベルに自分をもっていけるサポートは受けています。あとは、もう少しトレーニングルームの天井が高かったり、広かったりしたら嬉しいなと思っています。

二宮:  その理由は?

斯波:  メディシンボールを上に高く投げたり、壁に叩きつけたりしたいんですよ。

新井:  確かにバーベルを上げる、ダンベルを持ち上げるだけでは鍛えられない筋肉はありますからね。アスリートのみなさんはいろいろな動きで筋肉に刺激を与えたいと考えている。トレーナーや社員のことも気にかけてくださる斯波さんのためにも、会社として期待に応えたいですね。

二宮:  こんな力強い言葉を聞いたら、励みになるでしょう?

斯波:  嬉しいですね! 僕はスポーツ界で世界一を目指している。RIZAPも世界でナンバーワンを目指している。つまり、僕もRIZAPも目指すのは同じ世界一。僕もRIZAPの一員として諦めずに挑戦し続けたいですね。

二宮:  今後、取り組みたいことはありますか?

斯波:  これはもう取り組み始めていることですが、もっともっと、アスリートを強化・支援できるプログラムをつくりたいんです。そのプログラムの構築に僕もさらに深くかかわっていきたい。

二宮:  アスリートとしての経験と、物事を客観的に見られる斯波選手の冷静さが活きてきそうですね。

斯波:  実際、何度かRIZAPのプロジェクトメンバーとミーティングをしました。各分野の専門家の方々にも参加していただいています。先日、RIZAPがサッカーJ1の湘南ベルマーレを支援することが決まりました。これを足掛かりにより本格的に、スピード感を持ってこのプロジェクトが進んでいくはずです。僕もアスリートの立場からどんどん意見を言っていくつもりです。

二宮:  フィードバックを受ける側のトレーナーとしてはいかがですか?

新井:  とても嬉しいです。ここまで会社のことを考えてくれるアスリートの方がいらっしゃるのは本当にありがたいですね。ご自身のことを理解されていて、チームのことや会社のことを思ってくれる存在は貴重だと思っています。これからも一緒に仕事をしていきたい、と熱い気持ちになります。

二宮:  斯波選手の進化とRIZAPの進化、その相乗効果に期待しています。

斯波:  僕自身もこれからの4年、自分の進化が楽しみです!

<斯波正樹(しば・まさき)プロフィール>

1986年4月26日、山形県出身。9歳の時にスノーボードを始める。中学時にジュニア世界選手権を優勝。県立山形南高校卒業後、19歳の時にカナダに渡り、4年間スノーボードの技に磨きをかけた。2015年からRIZAP と契約。主な戦績は全日本選手権パラレル大回転優勝3回。2018年ワールドカップオーストリア・ラッケンホフ大会同種目6位。2018年平昌冬季五輪に同種目で出場した。身長170センチ、80キロ。

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